第19回 総会・研究大会


【プログラム】

日程:2017年6月25日(日)

会場:大正大学 2号館5階251教室

〒170-0001 東京都豊島区西巣鴨 3-20-1

アクセス・マップ


12:00~

受 付

12:30~12:50

総 会

13:00~15:25

研究発表 (発表30分、質疑応答15分)

15:40~17:00

特別講演

17:30~

懇親会



【研究発表 要旨】


(司会:笠松幸一)

「小学教師に告ぐ」から見る石川三四郎の教師観

貞清 裕介

石川三四郎(1876-1956)は、明治期から昭和初期にかけて社会主義者として活躍した人物である。彼は明治30年代から40年代にかけて『萬朝報』や『平民新聞』等に参加し、日露戦争の非戦論者であった堺利彦や幸徳秋水らと活動を共にしていた。石川の「小学教師に告ぐ」は、週刊『平民新聞』第52号1904(明治37)年11月6日に発表した記事であり、彼の教育に関する初めての論稿であり、明治期の小学校教育の問題点や本来あるべき小学校教育の姿について論じたものである。

そこで本稿は、石川が小学校教師のあり方に言及した「小学教師に告ぐ」を主題に取り上げ彼の教師観を論じ、その思想背景として彼の遍歴や平民新聞社での活動についても考察していく。



(司会:奥 香織)

在仏日本人の持つフランスへの表象の特徴

矢野 禎子

在仏日本人が彼らの移住生活を語った「移住談」は、フランス(国・文化・人)に対する表象に関連した様々な言説を含んでいる。日本人のフランスに対する表象提示の特徴としては、中立的な立場をとることや、社会で既知の要素で構成されることが多いことが挙げられる。

本発表ではこれらの特徴を移住談の内容と言語運用の側面から考察し、調査協力者の語りの中に現れるフランスに関する表象がどのような意味を持つのか、彼らがどのようにそれらの表象を構築するのかを、より詳細に分析する。



(司会:高頭麻子)

ゴーチエとプルースト

――心霊主義・精神医学と文学の創造――

西脇 雅彦

19世紀のフランスで多くの幻想的な物語をものした作家にテオフィル・ゴーチエがいる。ゴーチエは晩年にいたるまで超自然のものを描き続けたが、それは心霊主義、さらには精神医学と深いかかわりをもつ。心霊主義や精神医学と関連する主題は、20世紀の作家マルセル・プルーストの小説にもみとめられる。

本発表では、ゴーチエとプルーストに共通するそうした主題を、その現代性を考慮しながら、文学の創造の問題とからめて検討する。



【特別講演】

(司会:三宅京子)

エマニュエル・トッド人類学の新たな段階

石崎晴己(青山学院名誉教授)

エマニュエル・トッドは、世界各地の多様な家族システムとその地理的分布を確定し、家族システムと心性、宗教、イデオロギーとの関係性を発見したことによって、近現代史を家族システムによって説明する新たな学問分野を切り開いたが、その前提として、家族システムそのものの変遷を括弧に入れる手続き、ないし家族システムを不動の与件すなわち共時態として設定する手続きを必要とした。しかし、すでに四半世紀以前から、家族システムの伝播・変遷についての思索は開始されており、全く新しいアプローチによる家族システムの起源と変遷の研究の成果が、昨年和訳刊行された『家族システムの起源』(2011年)である。

講演では、トッドの第一段階 --- 絶対核家族、平等主義核家族、直系家族、共同体家族を中心とする家族システム類型論 --- を紹介したのち、この第二段階 ---- 家族システムの変遷の探求 ---- の方法的革新について解説し、トッド人類学という革新の全貌をお示ししようとするものである。


講演者紹介: 石崎晴己(いしざき・はるみ)

1940年東京生まれ、青山学院大学名誉教授、1969年早稲田大学大学院文学研究科仏文専攻博士課程満期退学

訳書に、サルトル関係、『奇妙な戦争』、『実存主義とは何か』、A. ボスケッティ『知識人の覇権』、B.H.=レヴィ『サルトルの世紀』、A. コーエン=ソラル『サルトル』、『サルトル伝』。P. ブルデュー『構造と実践』、『ホモ・アカデミクス』、E.トッド『新ヨーロッパ大全 I, II』『移民の運命』『帝国以後』『最後の転落』『家族システムの起源 I』上下、など、H. カレール=ダンコース『レーニンとは何だったか』など、他。編著書に、『世界像革命』など。




第19回総会

2017年6月25日 於 大正大学







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