第17回 総会・研究大会


【プログラム】

日程:2015年6月21日(日)

会場:昭和女子大学 研究館 7F視聴覚教室(K7L02)(アクセス、キャンパス・マップ

〒154-8533 東京都世田谷区太子堂 1-7


11:40~

受 付

12:25~12:45

総 会

13:00~16:30

研究発表 (発表30分、質疑応答15分)

16:30~17:30

ディスカッション

18:00~

懇親会



【研究発表 要旨】

管領細川高国と近衛尚通の交流

―― 国立歴史民俗博物館蔵洛中洛外図屏風甲本近衛邸の描写をめぐって ――

小谷 量子

国立歴史民俗博物館蔵洛中洛外図屏風(歴博甲本)は、現存最古の洛中洛外図屏風である。同時代に戦国期京都を描いた作品として、各方面で活用されている。現存最古の洛中洛外図の解明は、都市図屏風研究に新たな研究視点をもたらすであろう。

本発表は、歴博甲本に管領細川高国と近衛尚通の交流の物語が描かれていることについて検証したい。歴博甲本近衛邸は不自然な描写であることが指摘されているが、その意味は現在なお不明である。また、近衛家と高国一族に交流があり、近衛家風呂に高国一族が頻繁に訪れている事は既知であるが、その意味は考察されていない。歴博甲本に近衛家の風呂が描かれていることをはじめて明らかにし、風呂を媒介とした高国と近衛尚通の交流と別れの場面が歴博甲本に描かれている事を検証したい。


困難を伴う多文化主義

―― リトアニアにおける民族自治から考える ――

重松 尚

本発表では、リトアニアにおける民族自治を多文化主義の文脈から考えてみたい。

第一次世界大戦後、東欧諸国における少数民族の保護が国際社会の課題として浮上した。リトアニアにおいては、ユダヤ人に対して民族自治が与えられたが、これは、レンナーやバウアーらが唱えた民族自治の理論に由来する、属人的自治と呼ばれるものであった。パリ講和会議(1919年)におけるリトアニア代表団がユダヤ人代表団に対して発した宣言や、国際連盟加盟に向けて出された少数民族保護宣言、1922年の憲法に設けられた少数民族の権利に関する条項などにもとづき、1923年まで民族自治が制度化されていった。しかし、その後1924年に民族自治は廃止に向かう。

本発表では、民族自治の制定と廃止の過程を国内外の要因から検討する。そして、近年の多文化主義に関する理論からリトアニアの民族自治を検証したい。


食品表示制度における表示義務について

西島 裕行

現行の食品表示制度は、複数の法律の目的の違いによって表示義務も異なっている。主として、「食品衛生法」、「JAS法」、「健康増進法」という3つの法律にまたがって規定されている。食品表示は、食品の安全性の確保および食品の選択の機会の確保をめぐって、重要な役割を果たしているといえる。この「食品表示」について消費者からは、「表示のルールの複雑さ」や「バラバラ行政の典型である」などという批判もなされている。また消費者にとってみれば、製造工程や流通過程などを知る手掛かりとしては「食品表示」しかないといっても過言ではない。したがって「食品表示」が信頼されなければ食品の安全性の確保が維持されないばかりではなく、食品産業全体にも影響が及ぼされてしまうのである。上述した問題を踏まえて2013年6月に「食品表示法」が公布され、2015年6月より施行される。

本発表では、新たに立法化された「食品表示法」を確認するとともに、食品関連事業者の責務を検討し、今後の課題を提示していきたい。


戦前・戦後におけるアメリカ学校健康教育論の摂取

高橋 裕子

戦後日本では、戦前の学校教育と師範教育の反省のもとで、教員養成の方法やその課程が議論された。そのうち、いくつかの教員養成課程案では「学校衛生」が必修科目に位置付けられている。「学校衛生」とは、戦後、「学校保健」と呼称されるようになる(文部省設置法、昭和24・5・31・法律146号)、学校における保健管理・保健教育を担う領域のことである。つまり「学校衛生」が必修科目であることは、学校は子どもの保健管理教育について考慮すべきであり、学校教育を担う教員の専門性(教職)にはそのような側面があると考えられていることを意味している。

こうした戦後日本の教員養成の議論には、CIEなど、アメリカの学校教育・教員養成の考えの影響があることは周知の通りである。ただ、学校保健についてはどうだったのであろうか。アメリカの学校保健や健康教育の考えは、戦後教育改革時に突然、移入されたのだろうか。実は、すでに戦前において、摂取されていた面がある。本発表では戦前、アメリカの学校保健・健康教育の考え方がどのように摂取されていたのかを明らかにして、戦後とのつながりを検討したい。



【ディスカッション】

「シャルリー・エブド」事件と表現の自由

ゲストスピーカー :: 澤田 直(立教大学文学部教授)

専門:フランス思想、フランス語圏文学

著書:『ジャン=リュック・ナンシーーー分有のためのエチュード』、『新・サルトル講義』ほか

訳書:サルトル『文学』、『自由への道』ほか

司会:高頭 麻子


第17回総会

2015年6月21日 於 昭和女子大学







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